~前回のあらすじ~

《サイカトグ/Psychatog》≠《タルモゴイフ/Tarmogoyf》





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知り合いが土地破壊デッキを求めていたので、今回は土地破壊をしてみようと思った。

個人的な話になるが、僕は昔の土地破壊(を含めたマナ拘束戦略)には碌な思い出がない。
顕著だったのはODY期の黒単で、このデッキにとってのマナ拘束戦略はまさに地獄。主な勝ち手段が《堕落/Corrupt》の連打なのでそもそもゲームが始まらない。当然といえば当然だ。
当時のマジックの土地破壊カラーである赤緑がステロイドの色であったこと・またステロイドにした方が明らかに強かった(殴るクリーチャーと火力がしっかり揃っていた)都合上、マナ加速からの2ターン目土地破壊こそほぼ無かったためデッキは赤単か赤白(《神の怒り/Wrath of God》用)になることが多かった。
いずれのデッキも3ターン目からの《石の雨/Stone Rain》《略奪/Pillage》、4ターン目《地の裂け目/Earth Rift》から墓地にソーサリー呪文を蓄積させて《猛烈に食うもの/Magnivore》で勝つ想定のもの。《燃え立つ願い/Burning Wish》もあった。
そして黒単も同じくらい超ソーサリーデッキなので、土地が詰まってディスカードする際にソーサリーを捨ててしまうとパワーが上がる(概ね使わない《燻し/Smother》や《戦慄をなす者ヴィザラ/Visara the Dreadful》などが無ければソーサリーを捨てるしかない)という噛み合いから、《猛烈に食うもの/Magnivore》に触れる除去まで全てソーサリーであるため《罠の橋/Ensnaring Bridge》がなければ速攻持ちの《猛烈に食うもの/Magnivore》の初撃は絶対に受けてしまう点も厳しい。

他に同環境にあったマナ拘束をするデッキとしては《対立/Opposition》デッキや《陰謀団の先手ブレイズ/Braids, Cabal Minion》デッキなど。
いずれもトップメタにこそならなかったが、僕の地元では何故か愛好家が多く困ることが多かった。確かに当時のこういったデッキは性格の悪い(褒め言葉)地元のプレイヤー達がいかにも好んでいそうな形をしていたものだ。

幼少期の僕はそんな感じに頻繁に嵌め散らかされていたのだが、時は経って2020年の僕はレガシーで《もみ消し/Stifle》と《不毛の大地/Wasteland》を愛用している。時の流れの残酷さを感じずにはいられない

ともかく上記のような重コントロールvsマナ拘束戦略のような例があるように、マナ拘束戦略は効くデッキには抜群に効く。
傾向として動き出すターンが遅いデッキ、土地破壊に関しては3~4マナ域以上がキーになるデッキ・それ未満のマナ域のプレッシャーが弱いデッキには相性が良い。
そして裏を返せば、多くの環境でトップメタにならない理由もまたそれである。
相手の低マナ域に触りにくい構造である以上、普通はサイドボードを含めても相性は改善しないものだ。環境に重いデッキがある以上軽いデッキもいるものなので、後者についてはいつも悩まされていた印象だ。

第一印象として、ミドルスクールの環境でこれを完遂するのは少しハードルが高そうだな、と思った。
環境が少し早め(=拘束しにくい)な上に、個人的にミドルスクールのマナ拘束戦略で勝つために必要だと感じている下記条件を全て満たせない可能性があったからだ。

1:マナ加速から拘束可能なこと。相手が動く直前のマナを潰すか、自分がマナの面で有利でなければいけない。
2:ゲームに勝つカードがしっかり入っていること。相手が立て直してしまっては意味がないので縛っている間(もしくは立て直し中)に勝つカードが欲しい。
3:拘束が効きにくいデッキに対して耐性のあるカード。メインからそういう構成を取れるならそれでいいが、サイドボード追加での改善でも良い。


1を満たすには1ターン目マナ加速→2ターン目土地破壊が可能なのは緑しかないので、デッキの色は必然的に緑になった。
《極楽鳥/Birds of Paradise》《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》《Fyndhorn Elves》を程良いバランスで投入することになる。
2は《アルゴスのワーム/Argothian Wurm》《マスティコア/Masticore》《錯乱した隠遁者/Deranged Hermit》が良さそうだ。
ここまでの条件だと過去のデッキで言えばトリニティのようなデッキになるだろう。経済的な話になるが、この辺りまで考えて《ガイアの揺籃の地/Gaea’s Cradle》(※1)を1枚しか持っていないことに気付いてしまった。
そして3。具体的にはスタイフルノート、リアニメイト、アグロ系。いずれのデッキにも耐性を付けられるのは黒いカードか《剣を鍬に/Swords to Plowshares》(※2)で、《極楽鳥/Birds of Paradise》を含めたマナベースから考えて2色目としては白の方がタッチしやすい。
タッチ案と同時に《ガイアの揺籃の地/Gaea’s Cradle》はそんなに必要なくなった。嬉しい

※1:《ガイアの揺籃の地/Gaea’s Cradle》
日本語版NM:55,000円(2020/10/13時点)
前回(調整録7)触れたようにこちらも高等の影響を受けてしまったが、先月よりは落ち着いている様子。レガシーのエルフで4枚使われている・統率者需要でこの価格。

※2:黒いカードか《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
調整録4参照。今回はマナクリを使うということで単体除去しか採用できないため、黒なら《悪魔の布告/Diabolic Edict》《燻し/Smother》、白なら《剣を鍬に/Swords to Plowshares》辺りになる。白については《剣を鍬に/Swords to Plowshares》が至高すぎて他が弱すぎる状態。

内容は省略するが、緑白で1マナのマナクリ12枚+3マナ土地破壊+適当という形で少し一人回しをしてみた結果、単体で土地破壊を引くパターンが異様に多く「もしかしてセンスない?」状態だったのだが、回数を重ねるうちに(自分の運でない場所での)問題点が浮き彫りになってきた。

・後手とサイド後が弱い
当たり前だが「先攻を取った相手が何もできない」というターンがほぼないため。
また上記の3で挙げたような相手にはサイドボードの読みが大当たりしない限りはサイド後も不要カードが一定数残った状態で戦わなければならず、1本取っても後手のゲームがかなり厳しくなる。

・《アルゴスのワーム/Argothian Wurm》が弱い
アグロ相手には相手が土地を1枚生贄にすることで《Time Walk》が発生(つまり出せないターンがある)し、コンボデッキには「はい6/6出ました」→返しコンボ決められて負けのパターンが容易に発生しうる。これは裏目のみを挙げているが、相手が選ぶが故にこのマナレシオも武器にならないことが多かった。
またサイド後に土地破壊を減らす前提だとクリーチャーとしてカウントできないため、メインデッキに残せない。前述の抜ききれない現象がこいつの枠で発生している。
逆に言えば誰に対しても土地破壊を減量しないストロングなプランがあれば気にならなくなると思うのだが、僕にはまだ技術的に不可能なようだ。

・土地破壊呪文が弱い
おい!どこまでディスるんじゃ!
だが現実は非情、手札に揃った時は当然無双で最強なのだが1枚2枚しか引かずゲームが思ったよりも遅くならなかったり、こっちもでかいクリーチャーを出すために空白の1ターンを作らなければいけなかったり(相手が土地を置けなかったターンに出すのが良い)する。
総合するとブレの幅が非常に大きく(そういうコンセプトではあるものの)、弱い回りの時が本当に誰にも勝てないくらい弱い。

だが副産物として良い点も浮かび上がってきた。

・1マナ→3マナの動きは良い(3が土地破壊かどうかはともかく)
緑の伝統芸だが、アグロに対しては抜群に良い動きになる。
1マナ域は開幕の初手を開けばほとんど居るレベルでぶち込まれている上に、3も厳選すれば土地破壊以外にもいいカードはたくさんある。
この過程で過去のデッキから拾い上げてきた《藪跳ねアヌーリッド/Anurid Brushhopper》は今月の《タルモゴイフ/Tarmogoyf》枠である(重要)

・自パーマネントが超多いので《からみつく鉄線/Tangle Wire》とかでもなんとなく拘束できている気がする
これはパーマネントの数に依存するため、課題としていた後手の方がリターンがありそうだ。先手だとタイミングにもよるがオーバーしている時がある。
マナクリが多い関係上これ自体は苦にならないので、1個ずつ壊すスペルよりもこういったカードの方が緩くはあるもののスロットを圧迫しなさそう。



まとめるとこうなる。

・後手でも強くしたい
・土地は縛るけど最小限にしたい
・タルモすき



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4《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4《極楽鳥/Birds of Paradise》
3《Fyndhorn Elves》
1《ティタニアの僧侶/Priest of Titania》
4《藪跳ねアヌーリッド/Anurid Brushhopper》
4《賛美されし天使/Exalted Angel》
4《獣群の呼び声/Call of the Herd》
2《マスティコア/Masticore》
4《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
4《からみつく鉄線/Tangle Wire》
4《ハルマゲドン/Armageddon》
4《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
4《低木林地/Brushland》
4《樹上の村/Treetop Village》
6《森/Forest》
2《平地/Plains》
2《真鍮の都/City of Brass》

4《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》
3《帰化/Naturalize》
1《復仇/Reprisal》
1《起源/Genesis》
1《ナントゥーコ自警団/Nantuko Vigilante》
1《貪欲なるベイロス/Ravenous Baloth》
1《エラダムリーの呼び声/Eladamri’s Call》
1《たい肥/Compost》
1《法の領域/Sphere of Law》
1《赤の防御円/Circle of Protection: Red》

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結果、1枚で複数割ればいいんじゃね?というところに行き着いた。
※ただし自分の土地も含む


海外のミドルスクールでは既にゲドン系のアーキタイプがいくつか上位にいるとのこと。《土を食うもの/Terravore》(+《熊人間/Werebear》)型が多いようだ。
今回《土を食うもの/Terravore》でない理由としては、《ハルマゲドン/Armageddon》のプレイが概ねマストになる《土を食うもの/Terravore》よりも、戦場のバランスを一定にする(撃つか撃たないかを選べる)目的で《ハルマゲドン/Armageddon》が入っている方が手広く戦えそうだと感じたからだ。
マナクリが多い関係上、自分が《ハルマゲドン/Armageddon》を撃った後のリカバリーは比較的楽な上に、マナクリの数に対して少し土地を多めに入れてある。これにより自分の《ハルマゲドン/Armageddon》《からみつく鉄線/Tangle Wire》による影響はかなり小さい。

クリーチャーはマナクリから繋がる3マナの優良なものだけを用意した。《マスティコア/Masticore》だけは例外だが、《ハルマゲドン/Armageddon》プラン以外は概ねいつでも強い。
《賛美されし天使/Exalted Angel》は《ハルマゲドン/Armageddon》が挟まればまず勝てるほどに凄いクリーチャーであり、2ターン目変異3ターン目解除もこのデッキではかなり現実的な動きだ。
また白いデッキで変異するとまず間違いなくこいつだと思われそうなので、何かあるかもしれないという遊び心からサイドボードに1枚だけ《ナントゥーコ自警団/Nantuko Vigilante》を用意した。

《からみつく鉄線/Tangle Wire》と《ハルマゲドン/Armageddon》のプレイのタイミングについては少し難しい。
いずれも相手のデッキのマナカーブ(と出されたら嫌なカード)を把握している必要がある。
《からみつく鉄線/Tangle Wire》を最速(相手のパーマネントが3個以下)で出すのは《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》が出てしまった時と《再活性/Reanimate》されてしまった時で、《剣を鍬に/Swords to Plowshares》がない時に引くまでの時間稼ぎに使う。
普段は4個しっかり寝るようなタイミングで少し遅く使うのがベストで、相手の最もプレイしたいカードを長時間止めつつ盤面を固定するためだ。
《ハルマゲドン/Armageddon》は当然先攻3ターン目に土地2個の相手に対して撃つようなものではないが、後手かつ相手の動き次第でマナクリ→3マナ圏→《ハルマゲドン/Armageddon》と撃つ価値はある。その場合でもこちらの3マナ圏がスタック対処されてしまうとただの五分の場になってしまうだけなので、相手はどう動けるのかはしっかり予測しておいた方がいい。

なおこれは構築の際のミスだが、《ハルマゲドン/Armageddon》4枚投入のつもりなら《戦の惨害/Ravages of War》と2枚ずつに散らすべきだった。
まあ構築時点で1枚しか持っていなかったので散らせても3:1になってしまうのだが…。



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10/11晴れる屋秋葉原勝ち抜きミドルスクールに参加。



1回戦:The Rock

1本目
《花の壁/Wall of Blossoms》や《貪欲なるベイロス/Ravenous Baloth》に阻まれうまく殴れず。《破滅的な行為/Pernicious Deed》後一旦平らになった後に《賛美されし天使/Exalted Angel》が強くて勝ち。

2本目
序盤押すが《破滅的な行為/Pernicious Deed》に足踏み。そのうち出てきた《魂売り/Spiritmonger》に《剣を鍬に/Swords to Plowshares》を当てたら《生ける願い/Living Wish》で持ってこられて対処できず負け。

3本目
やはり《破滅的な行為/Pernicious Deed》の前に緊急停止。ライフはまあまあ削れていたため影響力のあるクリーチャーが欲しい場面で《マスティコア/Masticore》を引き、相手の除去が再生の効くものが多かったため勝ち。

◯×◯

《花の壁/Wall of Blossoms》でみんな止まるの笑う。



2回戦:ターボランド

1本目
《ハルマゲドン/Armageddon》とかいうカード強すぎませんかね…。

2本目
相手少し事故気味。《ナントゥーコ自警団/Nantuko Vigilante》で《どん欲の角笛/Horn of Greed》を割って自分の土俵で勝ち。

◯◯

この組み合わせの《ハルマゲドン/Armageddon》いかんでしょ



3回戦:青単スタイフルノート

1本目
開幕1ターン目にコンボを決められるも、2択に読み勝って《剣を鍬に/Swords to Plowshares》(ただしライフ32)が通る。立て直される前に攻めきって勝ち。

2本目
除去を2枚引けたので《剣を鍬に/Swords to Plowshares》が《誤った指図/Misdirection》された後で《帰化/Naturalize》できて勝ち。

◯◯

1本目は《目くらまし/Daze》or選択肢たくさんという状態だったので、じゃあ《目くらまし/Daze》だけのリスクの方がいいやってことで突っ込んだら助かったという感じ。



4回戦:青赤スタイフルノート

1本目
例によって彼が出てしまうが、《剣を鍬に/Swords to Plowshares》が通りなんとかなる。その後建て直される前に32点間に合って勝ち。

2本目
こっちの殴り値が高すぎて勝ち。パワー3も3体いれば凄い。

◯◯

意外と32点削れるな…(小並)




4-0わーい(^o^)



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想像よりはなんとかなってたっぽい。

スタイフルノート相手には現状でも充分サイドボードを取れてはいると感じたが、《剣を鍬に/Swords to Plowshares》が《誤った指図/Misdirection》で曲がってしまうのは気になった。
《剣を鍬に/Swords to Plowshares》は当然4枚必要なのだが、もし本気でスタイフルノート・リアニメイト・アグロを見るならサイドの《復仇/Reprisal》を2枚にすると自分には当たりにくくていいかもしれない。

また大会後に友人のダークファイヤーズと遊んでみた際、相手のクリーチャーが強すぎて余裕のサイズ負け。
赤単やゴブリンのような小さめのアグロを想定していて《獣群の呼び声/Call of the Herd》《藪跳ねアヌーリッド/Anurid Brushhopper》というチョイスだったが、上には上がいるということを再確認した。
やはり一貫したビートダウンと戦うならもう少し寄せた対策が必要そうだ(そしてコンボに当たるループ)



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そんなかんじでーす(^o^)

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